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Charming Times No.22

<2022年9月発行 / 22nd Edition>

Charming Times No.22

目次 Index


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– 特集 A -

20周年記念企画紹介

20周年記念事業 一覧

1) 国際フォーラム
2) 国内フォーラム
3) 20周年記念年表作成とホームページへの掲載
4) ホームカミング
5) 20周年特別募金


20周年記念企画紹介 -その1-

● 国際フォーラム

Asian Forum on Migration and HIV(移住とHIVアジアフォーラム)を開催します。

フォーラムでは、国境を超えてHIV陽性者が移動する際にスムーズに服薬治療を継続できるために必要な各国の情報について話し合います。

特にそれぞれの国で外国人が医療につながる手順やHIV診療に一般的に使用されている薬などの中からホットなトピックを選んでHIV陽性者支援団体が情報を共有します。また各国で外国人がHIV診療を受ける際の課題について話し合い、国を超えて協力する支援団体のネットワークの存在をお伝えします。アジア各国のHIV診療事情は、フォーラム終了後各団体のホームページを通して公開します。

海外で働くことを検討しておられるHI V陽性の方、すでに海外に暮らしておられる方、医療従事者の方、HIV陽性者支援団体の方、そして移動とHIVについて関心のある方ぜひご参加ください。

日時:2022年11月23日(水曜日祝)15 : 00 – 18 : 00 (日本時間)

言語:英語(日英通訳あり)

参加予定国:タイ、フィリピン、ミャンマー、台湾、ベトナム、中国、日本、インドネシア

定員:100名

申し込み:9月23日から申し込みを開始します。CHARMホームページをご覧ください。


● 20周年記念年表作成とホームページへの掲載

20年間のCHARM事業の変遷を、日本/世界のHIV/AIDSの取り組みの歴史と合わせて作成します。この年表はCHARMホームページで公開します。HIVは40年の歴史と多様な側面があります。時を経てHIV/AIDSの歴史を知らない一般の人々にも知ってほしいと思います。 そして過去を振り返り知ることから、現在の課題を明らかにし、HIV支援活動が取り組む方向への示唆を得る機会としたいと思います。


● ホームカミング

CHARM設立後、様々な事業を行ってきました。なかでも初期の土曜HIV抗体検査事業(通称SAT)は様々な職種や立場、アイデンティティなどを持つ人々が集まり、思い返せば多様性の宝庫のようなチームでした。他にもサポートライン関西、ひよっこクラブなど終了した事業もいくつかありますが、そこにもまた素晴らしい方々が関わってくださり、CHARMは本当に人に恵まれながらここまで成長することが出来たと思います。そこで、これまでCHARMに関わってくださった方々同士が再会または新たに出会う機会を持ちたいと思い、この「ホームカミング」を企画しました。お久しぶりの方もはじめましての方も、みーんな集まれ!!

20周年記念企画 各担当理事より一言

● CHARM設立20周年に寄せて (理事長 松浦基夫)

CHARMのホームページには、その設立の経緯が、次のように書かれています。

「2000年頃に関西のエイズ治療拠点病院に複数の外国籍エイズ患者が運び込まれました。いずれも医療保険が無く、エイズを発症して初めてHIV感染を知った人たちでした。」

2000年、私の勤めていた病院にも、在留資格を失った外国人のHIV陽性患者が、AIDSを発症して入院して来ました。まだCHARMはありませんでしたが、設立の中心メンバーとなる方々に助けられたことが思い出されます。設立から20年が経ち、活動の幅は広がって来ましたが、原点を忘れずに、さらなる発展を期待しています。

●「20周年記念年表作成とホームページへの掲載」 (白野倫徳)

世界初のエイズ患者さんが報告されてから約40年、CHARMが設立されてから20年間、HIV陽性者を取り巻く状況はどんどん変わってきました。治療については飛躍的に進歩しましたが、一方でいまだに解決されていない課題、あらたな課題も存在します。年表形式でこれまでの流れを振り返り、課題について検討します。

● 国際フォーラム「移住とHIV アジア地域会議」 (川名奈央子)

CHARMはこれまでHIV陽性者が移住先で治療を受けられるように、海外のHIV陽性者グループと協働して支援を行ってきました。これらのグループとともに新型コロナの流行で明らかになった問題を含め、移住者の治療へのアクセスの現状や課題を議論し、今後の情報提供やより良い支援につなげていきたいと思っています。

● 国内フォーラム「日本社会の生きづらさと解放-セクシュアルマイノリティーの経験を通して-」 (武田丈)

2023年6月開催予定の国内フォーラムでは、日本社会の中で生きづらさをかかえる人たちの一例としてLGBTQ+の人たちの体験にフォーカスをあて、その原因である社会構造や価値観の変革にどのようなアプローチが有効かをいろんな角度から議論し、一人一人が感じる生きづらさと解放の方向について話し合います。

● 「つなぐ・まもる・つむぐ募金」 (三保俊幸)

活動20年を経てなお、HIV/AIDS当事者の支援や、その誤解と偏見解消に取り組んでいますが今、さらに大きな前進が必要と考えます。そのために国際フォーラム等を企画しました。しかしCHARMの活動は委託事業で成り立ち、その余力は限られています。そこで皆様にご援助をお願い致します。私達は貴重な浄財を大切に、活動を真摯に進めて参ります。


– 新企画 ① -

CHARMERの紹介

CHARM設立20周年記念を機に、日頃からCHARMに関わってくださっているすべての方(会員、サポーター、当事者、そして事業に関わってくださっている方々)の総称「CHARMER」の皆さんをご紹介する企画です。今回は3名のCHARMERをご紹介します。次はCHARMERのあなたにもお願いするかも知れません。その際はぜひご協力ください。

● 紹介項目

お名前(フルネーム、イニシャル、ニックネーム など)
(1) CHARMとの出会い
(2) CHARMでしていること
(3) CHARMに関わってよかったこと
(4) 今後どのように関わっていきたいか
(5) 好き、またはおすすめの食べ物/本/その他
(6) CHARMへの思いや、他のCHARMERのみなさんへの一言!


① あまのジャック さん

② 木下 浩一 さん

③ 郭 靜儀 さん (台湾出身)


① あまのジャック さん

(1) 2006年に飯沼保健師が支援団体訪問を企画してくださり、事務所に訪問したのが出会いです。
(2) たま〜にHIV、結核通訳派遣事業に顔を出す幽霊ボランティアです(笑)。
(3) 先入観にとらわれない、多様な考え方があることも意識して人とかかわるようになったと思います。
(4) ほそぼそとはなりますが、末永くお付き合いよろしくお願いします。
(5) ネパール料理のダルバート(豆スープとごはん、カレー味の野菜おかずと漬物の食事)
(6) 2009年から2年間、青年海外協力隊員としてネパールへ派遣され、雄大なヒマラヤ山脈を見ながら過ごしました。お世話好きなネパールの人びとにたくさん助けていただき、これからも微力ではありますが、ネパール人に限らず、日本で健やかに生活できるようなお手伝いができればと思っています。

この記事をご依頼いただき、CHARMに関わる人びととの出会いが、自分の人生にも大きな影響を与えてくださったんだなぁと改めて感じました。これからもよろしくお願いいたします!


② 木下 浩一 さん

(1) CHARM発足直後だったと思いますが、大阪医療センター(当時は国立大阪病院)でHIVコーディネーターナースをされていた織田幸子さんに誘われました。SATという抗体検査場を手伝って欲しいとのことでした。「日本のお母さん」というべき織田さんからの頼みだったので、断れませんでした(笑)
(2) 抗体検査場でCHARMデビューしましたが、現在は「SPICA」というゲイHIV陽性者の薬物依存からの回復を目指す自助グループでスタッフをしています。
(3) HIV/AIDSに関連する様々な分野で活躍しているスペシャリストと知り合えたことです。見聞が大きく広がりました。CHARMとの関わりが無ければ、ずいぶん違う自分になっていたと思います。
(4) 引き続き、SPICAに関わって行けたら良いなと思います。
(5) 「阪神タイガース」、「鬼滅の刃」、百田尚樹の小説「影法師」
(6) 今の自分があるのはCHARMに出会えたからだと思っています。多少考え方が違うことがあっても、ずっとCHARMERであって欲しいなと思います。


③ 郭 靜儀 さん (台湾出身)

(1) 医療通訳の勉強でHIV・結核などの感染症を専門的にサポートされている団体CHARMを知り、そのメンバー達の必要とされる方への献身的なサポートの姿勢に感銘し魅了されるうちに、一緒に頑張りたくなりました。
(2) 中国語翻訳、通訳、電話相談員を担当。
(3) 微力ながら必要とされる方に役に立たせていただけることに感謝しています。
(4) 差別・弱者のない社会、助け合いの輪が広がるようなことに関わりたいと思っています。
(5) 食べ物には好き嫌いがないですが、刺し身だけが苦手です。スパイシー、ハーブ入りの異国料理がもっと好きです。また初めてはまった日本の漫画が<美味しんぼ>でした。
(6) CHARMとの出会いは私にとって日本で有意義な生活ができるようになり、特にメンバーの方々の熱意といろいろな見方がとても楽しく国際的であって、私の視野を広げてくれました。

30年前に日本に留学した当初、まず言葉の壁で苦労しながら文化と習慣になれるまで必死でしたが、今までに至る自分は周りの方々の優しさのおかげであることに気づきました。また思いやりの気持ちを持つように学びました。
皆さまのお力を借りながら、このご縁を大事に永く続けて行きたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


– 特集 B -

CHARM設立20周年「私とHIV」

HIV感染症との歩みをふりかえって (第1回/全4回)

CHARM理事長 松浦基夫

1981年に米国ではじめて後天性免疫不全症候群(AIDS)が報告されてから40年以上が経過した。私が大学を卒業して医師になったのが1981年なので、医師としての私の歩みはHIV感染症の歴史にぴったりと重なっている。CHARM設立20周年を記念し、HIV/AIDSの歴史をまじえて、HIV感染症との歩みをふりかえる。

<1981年-1995年の世界>

1981年6月、MMWR (米国疾患管理予防センターの週間感染症情報) に、「ロサンゼルス在住の男性同性愛者5名にカリニ肺炎が発生した」と報告されたのに引き続き、カポジ肉腫・口腔カンジダ症・潰瘍形成性ヘルペスといった免疫不全に合併する日和見感染症例が次々に報告され、日本にも「男性同性愛者に免疫を破壊する奇病」として紹介された。1982年7月には血液製剤を使用している血友病症例、10月には女性症例、12月には輸血を受けた幼児症例・母子感染による幼児症例などが次々と報告され、この病態は後天性免疫不全症候群(AIDS:Acquired Immune Deficiency Syndrome)と命名される。

1983年5月、フランス パスツール研究所のリュック・モンタニエ博士がAIDSの原因となるウイルスを発見し、後にヒト免疫不全ウイルス(HIV:human immunodeficiency virus)と名付けられた。

私が初めてこの疾患を知ったのはおそらく1983年、その当時の市立堺病院(現堺市立総合医療センター、以下堺病院)で、勉強家の同僚が一流の医学誌であるNew England Journal of Medicine (NEJM) を読んでいて、「アメリカでけったいな病気が流行っているみたいやで」といった感じで教えてくれたのを記憶している。その時は「対岸の火事」そのもので、自分と関わりができるとは夢にも思わなかった。

1984年以降、米国では感染者の爆発的な増加が起こり、世界各国で相次いで症例が報告されるようになる。1987年米国ではじめての抗ウイルス剤(AZT)が認可され、その後次々と抗ウイルス剤の開発が行なわれる。1995年、プロテアーゼ阻害剤が開発され、本格的な抗ウイルス治療が可能となる。1996年、米国で流行開始以来初めて死亡者数が減少した一方で、世界的な流行状況が明らかになる。

<1981年-1995年の日本>

1983年、帝京大学の血友病患者がAIDSを発症して死亡した。現在ではこれが日本の最初のAIDS患者と考えられているが、当時はそのようには認定されず、1985年に米国在住の日本人男性を「AIDS第一号」として発表した。これは、血友病患者に発症し始めた薬害としてのエイズから目をそらす意図があったのではないかと言われている。

1990年代前半までは血友病のHIV陽性者が、陽性者全体の半数以上を占めるという、世界的に見ればやや特殊な状況にあった。その後HIV感染者は徐々に増加し、1994年には非血友病の陽性者が血友病の陽性者を上回った。

●1986年-1987年 エイズパニック

「エイズパニック」といわれる3つの事件が次々に報道され、この疾患に「死に至る恐ろしい病気」「社会的に排斥されても仕方がない病気」という烙印が押されることになった。

・松本事件:1986年、長野県松本市で働いていたフィリピン女性がHIVに感染していたことが判明し、マスコミ各社が、彼女が売春行為をしていたとして名前や写真を報道した。

・神戸事件:1987年1月、厚生省は「神戸で日本人女性初のエイズ患者」と発表し、その患者は発表の後に死亡した。マスコミ各社が患者の実名・顔写真を報道し、神戸ではHIV検査を希望する人々が保健所などに殺到した。

・高知事件:1987年2月、高知で「HIVに感染した女性が妊娠している」と週刊誌で報道される。(幸い、この女性の実名が報道されることはなかった。)

プライバシーを無視して報道したマスコミは、「一般の人々に注意を喚起することによって感染の広がりをくい止めるためにはやむを得ない」と主張した。これらの報道の結果、いまだにHIV感染症が「恐ろしい感染症」であるという印象を持ち続けている人もいる。

この時期に記憶があるのは、1988年に成立した「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律 (いわゆるエイズ予防法)」である。エイズパニックの後、「エイズの感染拡大をくい止める必要がある」との世論を背景に作られた法律である。「らい予防法」を下敷きにしたこの法律は、HIV陽性者を、感染を拡大させる元凶として取り締まるかのような法律であり、陽性者の医療や福祉に対する言及はなかった。

●1989-1996年 薬害エイズ訴訟

1980年~1985年の時期に、血友病患者に対して米国より輸入された凝固因子製剤が投与され、約5000人の血友病患者の内1500人近くがHIVに感染、現在までに700名以上が死亡した。1989年に東京と大阪で国と製薬会社を相手取って薬害エイズの責任を問う裁判が起こされた。その裁判では、

・HIV感染の可能性を知り得たにもかかわらず危険性を告知することなく非加熱製剤の使用を続けたこと

・HIVを不活化した加熱製剤の導入が遅れたこと

・加熱製剤認可後も非加熱製剤を回収しなかったことでHIV感染が拡大したこと

などの責任を問うものであった。1996年、国と製薬会社は責任を認めて和解が成立し、国は被害者救済のための恒久対策を実現することを約束、エイズ診療拠点病院の整備などにつながった。

(次号に続く)


– CHARM 活動レポート –

会員総会報告

前田圭子

6月25日(土)に会員総会がオンライン形式で行われました。31名の正会員、サポーター、CHARMERが参加しました。2021年度事業報告、決算、2022年度事業計画、予算は文書決議で正会員38名の内、24名賛成で決議されました。

その後、2021年度の活動報告、理事会・事務局体制の紹介からスタートしました。問題提起の時間は、大阪市立総合医療センターの森田諒先生が医療現場における多言語支援の必要性についてお話ししてくださり、後半は参加者のみなさんと意見交換の時間を設け、充実したセッションとなりました。

最後に2022年度はCHARM設立20周年の記念の年で、2022年度、2023年度の2年間にわたり募金活動を行い、また関連事業やイベントについて各担当理事から内容の紹介があり、開催が楽しみです。

来年の会員総会こそ、対面およびオンラインで開催ができることを願っています。


CHARMのプログラム案内

● HIV総合相談窓口 (SO SO SO)

HIV陽性者の方とその周りの方のためのメールの相談。

いろいろな相談内容に対応できる様々な背景の人と相談できます。

・医療従事者  ・HIV陽性当事者

・カウンセラー ・薬剤師    など

プライバシーは守られますので、安心して相談できます!

まずはホームページ内の連絡フォームからご連絡を!

 www.charmjapan.com/charmsoudan/


● SPICA

薬物依存から回復をめざすHIV陽性の方のためのグループミーティング。

毎月 第二日曜日 / 第四土曜日

16:00-18:00


●多言語電話相談  06-6354-5901

16:00~20:00

火曜日 ポルトガル語、スペイン語、英語
水曜日 中国語
木曜日 英語

●Multi-language Telephone Consultation 

(06)6354-5901 

Tue  4-8 pm Portuguese, Spanish, English
Wed 4-8 pm Chinese
Thr  4-8 pm English


– HIVと人々 –

長谷川さんは、社会の中で「これはこうだろう」と決めつけている枠組みを面白く、時には衝撃的に超えてしまう。自らの人生を綴った「熊夫人の告白」を彼はドラッグクイーンの衣装を着て読む。「HIV陽性者は可哀想な人々ではないということを伝えようとするんだけど、一般には受けないんだよね。」と笑った。病人は身内が看るものという固定観念も破った。「お助けシスターズ」は現在CHARMで「そよかぜ」として展開している。 (青木理恵子)


(再掲載) 追悼 : 私と「お助けシスターズ」

長谷川博史

僕のHIV感染が判ったのが今から24年前の39歳の時。当時は抗HIV薬などほとんど無いに等しく、半年か1年程度進行を抑えるのがやっとだった。AIDSは文字通りの「不治の病」だったのだ。それにも関わらず、多くの患者達は何度も繰り返し襲って来る日和見感染症と闘いながら仕事を続けていた。社会と、家族と、関わろうとしていた。しかし、当時はそれを社会や家族の側が拒絶することもしばしば有った。

僕たちHIV感染者やAIDS患者を支えようとする動きもたくさん有った。その中には死に行く者への哀れみと施す側の優越意識がないまぜになった支援も有り、それにすがるしか無い人たちも居た。ただ、僕は自分が立てる間は自分の足で立っていたいと願った。

僕も当時、免疫の力を示すCD4リンパ球数が100を切りそうになって、発症も目前だった。あの時代のHIV陽 性者のたどる道はAIDS発症を経て死に向かう一本道しか無かった。その先、病気に倒れたときは誰かの助けはどうしても必要になる。ところがあいにく僕の身内は離れて暮らしていて、いざとい時に頼りにするにはあまりにも負担をかけすぎる。何より、自分に自力で立つ意思と力があるうちは他人の世話になりたく無いと言う思いも強かった。だから僕は自分の感染を“近すぎる身内”からでは無く“適当な距離のある親友”から伝えて行った。

そうは言っても、確実に迫って来る死と、その前に訪れる自立できない現実に対処するかという難題が横たわっていた。そんな時思い描いたのが「死の間際まで“必要な時に必要なことだけ”助けてくれる仲間達のサービス」で、私はそれを「お助けシスターズ」と名付けた。

その後、抗HIV薬が次々に開発され、今ではHIV陽性者も死ぬ心配などする必要が無くなった。そして、僕も心もとない命綱を渡りながら、気がつけば発症を経験しないまま還暦を迎えていた。幸運だった。しかし生きることより死なないことに必死だった僕は不覚にも自分の老後について考えていなかった。それと同時にひどい鬱病を患っていた。

それでもありがたいことに、僕の周りには倒れそうになる僕を見守り続け、倒れた時に支えてくれた若い友人達が居た。最初は彼等同士面識も無かったり、面識は有ってもそれほど親しい間柄ではなかったのだが、鬱病をこじらせて行く僕をサポートする為に繋がってくれた。そして僕は彼等を九州の兄 に繋いだ。こうして僕の「お助けシスターズ」は、今、ここにある。

(2016年7月発行No.11当時の原文ママ)


– 新企画 ② -

ちょう個人的!すきやねん大阪

松原光与

知っている人は知っている⁈ 初めて行ったとき、あまりの迫力に思わずよろけてしゃがみこんでしまった。平野と小川が続くのどかな風景の中に爆音が響き、頭上をかすめてどでかいそいつは滑走路に滑り込んで行った。

大阪府豊中市と同池田市、兵庫県伊丹市にまたがる大阪国際空港。関西では伊丹空港と呼びますが、今は国際線の出入りがないのになぜ国際空港なの?と思います。でもそこはさすが大阪!地元の人達の陳情により「国際」の名を残したそうで、いつかはまた国際線の乗り入れがあるかもしれないという期待も含まれているそうです。 紛らわしいですが、その大阪らしいおおらかな考えが好きでもあります。

その南端に接する住所もない千里川土手。遠い空に粒のような光が見えたと思ったら、みるみる大きくなり、キュィーンという金属音とともに、あっという間に飛行機が近づいて来た。ここはその巨大な機体のお腹部分を真下から見られるスポットなのです。

手を伸ばすと届きそうな距離感です。最初の静けさとは対照的なのもあって、音や風圧、巨大な影に圧倒され、通り過ぎた後に爽快感がやってきます。何回か訪れたうち一度だけ、親切に案内してくれるおじさんに出くわしました。「次大型機来るよ」とか、「あそこにアニメ機3台並んでるよ」とか「ラッシュ時間は何時頃だよ」とか「昔はあそこまで車で入れたんだよ」とかみんなに案内してくれました。次の飛行機が来るまで、草いきれの中で、おじさんの話を聞き、周りの見ず知らずの人たちと、自然に会話が生まれ笑い声が響きました。

ここに来て帰るころにはいつも、たまっていた日ごろの疲れが吹っ飛んでスッキリした気持ちになれるのでした。飛行機好きな人、カメラ好きな人、子ども連れの人、私のように非日常を味わいに来る人など人それぞれだけど、みんなで同じ空を見上げて、帰るころにはまた明日から頑張ろうって気分になれるのです。私にとって飛行機は非日常。コロナのせいで海外はまだ遠いけれど、ここに来て「この飛行機はどこから来てどこに飛んでいくのかしら」とか、「次はどこを旅行しようかしら」と想像を膨らませるだけでとっても幸せな気分になれるのです。思い起こせば最初の海外旅行はここから飛んだのでした。もう数十年前のことです。今でもその時と同じ気分になれるのです。ここはただの土手だけど、すごくリフレッシュできる、大阪でとっておきの大好きな場所のひとつなのです。


– NETWORK -

インタビュー:岸和田谷悠子さん (日本国際看護師)

CHARMと関わりのある個人/団体・組織について紹介する当コーナー。今回は「日本国際看護師」の認定を受けられた岸和田谷悠子(きしわだや ゆうこ)さんにお話をうかがいました。

国際看護師とはどんなお仕事なのか?外国人が安心して病院に行けるようになっているのか?などを伺いました。

●岸和田谷さんと日本国際看護師の仕事について教えてください。

私は出産を機に助産師となり9年目になります。また国際臨床医学会の認定を受け、日本国際看護師でもあり、勤務している病院では外国人患者対応について啓発活動をしています。

最近、外国人妊婦が増加し、周産期病棟では試行錯誤の日々を過ごしていますが、患者さんが外国出身であっても特別な援助が必要なのではなく、人対人です。文化の違いの周知、患者さんとの関わりでは想いを聴きとることを大切にしています。

中国人、ベトナム人の患者が多く、看護師が外国人に対して苦手意識を持たないよう、共通言語である「やさしい日本語」などで伝えるなどコミュニケーションをとりやすいような院内研修をしています。

また、各国の社会保障制度が違うため、外国人患者さんに日本の保障制度などを理解してもらえるような関わりを大切にしています。

例えば、他の国と異なる制度である出産一時金、社会保険、国民健康保険などのメリットを伝えます。産科医療補償制度では一時的に3万円を支払う必要があり、戸惑う患者もいますが、補償のメリットが大きいため丁寧に説明するようにしています。

もちろん、周産期病棟だけにかかわらず、在日外国人の方は日本人と同じ社会保障が適応となることをまず院内のスタッフに理解をしてもらう、研修の一部に取り入れたりもしています。

●常駐通訳者がいない中での対応について教えてください。

保健センターを通じて通訳を派遣してもらったことがありますが、間に合わないこともありますし、今はコロナ禍のため医療通訳者に対面通訳をして頂くことができません。

また、患者によって友人通訳はタブーなので、今後通訳対応できる体制の整備が必要です。

なお、最近は遠隔通訳(タブレット)や翻訳機器で、ある程度対応が出来るようになっています。

導入し始めた当初、機械を借りに行ったり、使い方などがわからなかったり、緊急の時は使い慣れずあたふたしていました。しかし、機械の利用頻度が増えて、定着しました。機械が足りないときもあるぐらいです。機械の精度も良くなってきましたが、患者さんに伝わりやすいように医療用語を噛み砕き、短い文章で、伝わりやすい文章などに気をつけるように工夫しています。

機械を使うことの課題としては、院内では電波の届かない場所もあってどこでも使えるわけではありません。そのため、さし絵を使ったり、むずかしい同意書はあらかじめ翻訳しておく、表情など相手を読み取る努力など、コミュニケーションスキルを上げるようにしています。

以前、妊娠中期の方が他院から紹介されました。この病院の医療従事者は英語が話せないから前の病院に戻りたいと言われたことがあります。簡単な英会話とやさしい日本語での関わりや、翻訳機を使用することで少し信用してもらえ、受診することに納得してもらうことができました。一度信頼してもらえると、あとは簡単なコミュニケーションでスムーズにいくこともあります。最後には、この病院で出産して良かったと言ってくれました。

コミュニケーションツールを使いやすくしたり、外国人対応と聞いても、フラットな対応が出来るよう、学習会を通して伝えていきたいと考えています。

病院の体制も変わりました。国際診療支援センターで事前に通訳の必要性や文化の違いなどの情報収集をするようになり、入院治療への対応が大変スムーズになりましたが、これからも発展していけるよう携わっていきたいです。

●外国人患者が置かれている状況について

出産や退院後の育児について、日本人同士でも考え方が異なったりしますので、その国の文化を尊重しながら、ていねいに説明するようにしています。

例えば、日本では母乳育児を推奨していますが、国によってはミルクで育てたい、逆に、母乳は出てないけれどミルクを足さずに育てたいなどという考え方があります。

母乳の必要性やミルク補足の必要性を理解してもらうのはむずかしいですが、わかりやすい言葉で説明して知ってもらった上で、ご本人に決めてもらうようにしています。

今後、外国人診療が増えていくでしょう。病院内に外国語が書かれる表示は定着していきますが、異文化や宗教への理解がスタッフよって差があります。また、中には外国人対応拒否の病院もあると聞くこともありますが、外国人患者さんが病院を選べる環境になればいいと思います。

対応は、在日外国人か旅行者によっても異なりますが、在日外国人の方にはこれから心地よく日本で暮らしてほしいので地域との連携が必要です。医療や衣食住が充実した環境、社会保障のバックアップ、経済的コストが高いなどの問題があり、どうすれば地域で心地よく暮らせるのか。旅行者は旅行を楽しんで健康に本来の生活の場所に帰れるのが大切です。

病気や怪我をした場合、どこの国でどう治療したいのか。怪我は治れば帰れますが、心臓などの循環器の病気は入院、帰国後の調整などフォローが必要となります。

しかし、そこまではまだ難しい環境にあるかもしれませんが、今は遠隔治療も進んでいるのでフォローも可能になることを期待しています。

●医療通訳者への期待、気をつけてほしいことについて何かありますか。

まずは忠実に通訳に徹してほしいです。

日本は言わなくてもわかるだろうと、空気で会話する文化ですが、言葉が足りていないと考えたことを通訳者が付け足して伝えるのではなく、説明している医療従事者にどういうことか確認をしてつないでほしいです。

医療従事者が忙しそうで質問しにくい雰囲気を感じる場面もあるかもしれません。しかし、患者さんが不安にならないように、後からでも受付を通して質問してもらっても良いです。

岸和田谷さん(右下)とリモートインタビューの様子

●CHARMのイメージや今後期待していることはありますか?

情熱を持って支援しているという印象が強いです。

CHARMのイベントを通じて、外国人が在留資格によって、医療費の自己負担がとても大きいことを知りました。外国人は経済的に困っている人がいることを医療者や行政にもっと発信してほしいです。また、すでに行っている感染症患者への支援に加え、母子保健にも力を入れてほしいです。

特に外国人患者さんが増えているのは産科です。妊娠中の過ごし方が日本と他国では違うことが沢山あります。妊娠期から育児指導まで、通訳方と一緒に勉強できたら嬉しいです。

また育児方法についても新しい内容になっているものがあります。例えば、沐浴の仕方が大きく変化しています。以前はベビーバスにつかるだけの沐浴をしていましたが、今は泡で洗ってシャワーで汚れを落とし保湿するような方法に変わっています。

このように育児方法もアップデートされていくので、アップデートされていることなどを共有できるような勉強会を一緒にしたいです。

(聞き手:庵原、前田、ポップ)


– CHARM NOW -

理事、監事、事務局の紹介 (2022年度)

2022年度の理事、監事、事務局をご紹介します。

●理事、監事

< 後列、左からの順 > ※氏名 (20周年記念事業担当内容)

 福村和美 (理事、ホームカミング・デイ)

    白野倫徳 (理事、20周年記念年表作成)

      武田丈 (副理事長、国内フォーラム、20周年記念年表作成)

        三保俊幸 (監事、「つなぐ・まもる・つむぐ募金」)

< 前列、左からの順 >

 松浦基夫 (理事長、20周年記念年表作成、ホームカミング・デイ)

   青木理恵子 (事務局長)

     中萩エルザ (理事、国際フォーラム)

       エレーラ・ルルデス・ロザリオ (理事、国際フォーラム)

         川名奈央子 (理事、国際フォーラム、20周年記念年表作成):写真撮影時欠席


●事務局

< 左からの順 > ※氏名 (担当事業)

 庵原典子 (通訳派遣事業)

   プラーポンキワラシン (広報全般、外国語によるエイズ電話相談、オンラインプログラム)

     津田幸乃 (多言語医療情報提供/相談)

       三田洋子 (エイズ専門相談、そよかぜ、HIV総合相談窓口SO SO SO)

         前田圭子 (会員管理、オンラインプログラム)

           松原光与 (会計、総務)

             オンバダ香織 (女性陽性者交流会)

               青木理恵子 (事務局長、理事会、総務、SPICA、陽性者個別相談)


– 事務局から -

20周年募金のご案内/編集後記

●20周年募金のご案内

CHARM設立20周年記念募金「つなぐ・まもる・つむぐ募金」 のご案内 ※目標額 200万円

日本において、外国人のための医療体制、保健社会福祉制度はまだまだ途上にあります。CHARMはこれらのさらなる充実を社会に働きかけるため、2022年度2023年度の2ヶ年をかけて記念事業を計画しています。事業を準備実施することで、その成果を社会に伝え変革の一助となることを願って記念募金を実施しています。すでに多くの方々にご協力をいただいています。ありがとうございます。さらなる働きかけをお願いいたします。詳しくはホームページまで。

           www.charmjapan.com/2022/07/charm20annivfund/


●編集後記

今年(2022年)は設立20周年記念の年です。そのため、今号のCharming Timesはイベントの予告やこれまでのHIVの歴史についてふりかえっています。またこれまで多くの方がCHARMに関わって来られましたが、事業単位でのご参加が多かったため、横のつながりがあまりなかったと思います。今号では理事、監事、事務局の紹介とともに、CHARMERのみなさんにもご登場していただきました。今後、CHARMERの皆さんが、つながりがもてるようなCharming Times作りをしていきたいと思います。(P)


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*CHARMER(チャーマー):会員をはじめ、事業メンバー、プログラムスタッフ、ボランティアなど、CHARMで活動に関わっているすべての人の総称です。

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・サポーター(賛助員) B (Supporter B)    5,000円
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